2005~2013
ロボットに使われるバッテリーには一部使い方を誤ると危険なものもあり、
なるべくなら無知やミスによってそのような事故を起こしてほしくないという考えから
数年に1度のペースでバッテリーに関する記事を投稿しています。
つい先日もバッテリーを巡って、某SNSでちょっとした炎上騒ぎがあり、またか(´・ω・`)
時事的にもここで投稿するのが良いだろうと言う判断から、今日はバッテリーの記事について投稿します。
また、記事の趣旨とは異なるので炎上案件に関しては当ブログでは一切触れませんので悪しからず。Tw***erでは超煽ってます。
まぁ毎度のことなので省いてもいいのかも知れませんが、一応片っ端から書いていきましょう。
秋イベは投稿後に徹夜で終らせます。
糞長い導入を飛ばす場合はこちらをクリック
安全に使う方法はこちらをクリック
発煙時の対策はこちらをクリック
結論だけ知りたい方はこちらクリック
※毎度のことですが、内容の調査は行っていますが事故等の責任は負いかねますので参考程度に。
まず、リチウムイオンポリマーバッテリー(通称Li-po)というものをご存知でしょうか?
2次電池、所謂バッテリーの一種で、その特徴は軽量で高出力、そして最近だと安価。
バッテリー自体は以前(といっても10数年前)から一般で出回っているものですが、
技術系の人間が使うのは勿論、今現在、殆どの乾電池以外の電池式の電子機器には
このバッテリーが使われているといっても過言ではないくらい普及しているバッテリーです。
残念ながら車は鉛蓄ですね(´・ω・`)
勿論スマホ、PC、タブレットもLi-poが使われており、世の中に出回ってる数は億のオーダーどころではないでしょう。
少なくとも現在日本にある乾電池型以外の2次電池の総数の割合は大多数がLi-poであるといっていいでしょう。
何度も言いますが次点は多分車用の鉛蓄です。
ところが、Li-poにはひとつ重大な欠点があります。
それは、”爆発する”点です。
↑恒例のアレ ↑
勿論どんな電池でも爆発させることは可能ですが、Li-poの場合、意図的に爆発させようと思えば1秒あれば事足ります。
+と-をつなぐ。所謂短絡というやつです。これだけで簡単に吹っ飛びます。
爆発と言っても火薬程の爆発が発生する訳ではありませんが、室内で爆発されたら十分に危険な爆弾になります。
じゃあ何故そんな危険なものが普及しているのか、ということですが、
先ほど記述した、高出力、最軽量がその理由となります。
従来使用されてきたニッケルカドミウム電池(ニカド)やニッケル水素電池(ニッスイ)に比べ
出力が倍以上に強く、それに対して重量は半分以下。
という魅力があるので、小型デバイス系では次々とLi-poへの以降が進みました。
※よく見るXXXXmA/hってのは電池の容量の単位で、瞬間に出せる電流量、つまり放電の出力とは別物です。
放電能力はCをみれば一目稜線。Li-poは一般に20C~って感じです。用途によってはたまに10未満のもあるけど。。。
因みにニッケル水素電池は強くても5Cくらいと言われています(´・ω・`)
追記:この辺ちょっと怪しそうのでまた後で調べて書き直します。ご指摘ありがとうございます。
しかし発売当初、高価だったLi-poはあまりロボカッパーなどの学生界には浸透しませんでした。
ところが2010年以降、安価なLi-poが大量に登場し、2000円台のLi-poが量販店でも販売されるようになりました。
結果として、安い、強い、軽いの3三拍子揃ったLi-poは瞬く間に学生の間でも浸透してきました。
その結果として、Li-poの危険性があまり知られることのないままに使用する人も出始め、
それなりの事故の話の話がちらほら上がるようになってきました。RCJ大会でもたまに聞きますね
・・・というここまでの糞長いのが導入です。
で、今回の記事の趣旨は、これを安全に使う方法、少なくとも事故を起こさない方法についてです。
別に規制がどうとかどうでもいいんだよね。規制がないと自分の身も守れない雑魚には興味ないのです(´・ω・`)
これも混同があるといけないので
まずはLi-poを使う際にあたってやっちゃいけないこと、やらないほうがいいことなどについて紹介します。
誤解ないようにいくつかのフェーズに分けて箇条書きで紹介しましょう。
因みにフェーズごとの項目についてはバカ度(個人的主観)においてソートされています
Li-poに対して絶対やってはいけないこと。これをやったらただの馬鹿。
・意図的な短絡
コンセント短絡させる馬鹿より馬鹿です。小さい子供がいる場合には絶対に手の届か(ry
・釘をぶっ刺す
テロ行為かな?※実際の検査で行われています。
・火に入れる、火をつける
放火したいなら灯油の方が有効です(´・ω・`)※これも実際の検査で行われています。
・一緒におふろ
理科の授業で水道水は水を通さないから・・・と習ったでしょうが、浴槽の水は貴方の汗が含まれています。
・Li-po対応していない充電器で充電
論外レイヤはここまで。因みにLayLaxによるとこれが事故原因No1だそうです。
・妊娠したLi-poを使い続ける
”膨らんだLi-po”の隠語です。"放電性能"には問題ないので、使い続ける人もいますが、その状態では発火の危険がヤバスです。
・過充電
Li-po対応の充電器を使ってればまず発生しませんが一応。
・Li-poモードで充電しない(複数機種対応の充電器)
基本アラート吐いてくれますが物によっては(チュドーン
・適切なクーロン量で充電しない
基本的に1000mA/hだったら1C、2000mA/hだったら2Cという感じ。3桁以下切り捨てで考えましょう。
・過放電
1セルあたり3.0V切った辺りから物によってはヤバイです。
・一度も電源を繋いだことない回路に一番最初にLi-poで電源供給
その回路。本当に大丈夫ですか?
・長期の放置
充電しておけば数年は放置しても大丈夫なものが多いですが一応。過放電してても再充電さえしなければ大体大丈夫。
※安全を保証するものではありません(´・ω・`)
・放電させずに破棄
破棄した先が爆心地となる可能性があります。放電は塩水でやるのが一般的ですが、ちゃんと調べてね。
※塩水でも完全放電はできないので注意!
充電器自作勢は自己責任で。できれば公共の場では自重が欲しいなぁ(´・ω・`)
あまりやって欲しくないなぁと思うこと
・単セルごとの使用(2セル以上の場合)
管理ができるなら爆発はしないでしょうが、やっぱり嫌だなぁ。セルごとの寿命が変わるのも恐ろしい。
・回路の外部露出
導電性の物体が外部から入ってきて電源ライン短絡したらお笑いです。
・回路への過負荷
回路が逝って短絡して爆破例も幾つか報告受けてます。
・Li-poに衝撃が直で加わる環境下での使用
ちゃんと保護ケースに入ってる種類のは蹴っ飛ばしても案外大丈夫です。鋭利なものが刺さったら知らない。
・高温下での使用
熱に弱いので寿命を縮めます。因みに70度付近で自己発火します。炎天下の車内はヤバスだよ!
※思い出したらどんどん項目は増えていきます(´・ω・`)
という訳で、ここまで色々な判例を出してきましたが、
次に今度逆にLi-poを使う場合に何を心がけたら良いか。という話に移りたいと思います。
最優先はLi-poの管理です。一体自分は何セルのリポをいくつ持っていてどこにあるのか、
充電器はどこか、充電方法は、というのをしっかり把握する必要があります。
これが出来なければ自分の部屋でもたちまち地雷原に様変わりです。
次に保管方法。一箇所にまとめるとひとつが爆破すると連鎖的に爆破しますが、管理はしやすいですね。どうするかは自分次第
どのような方法にしても高温多湿を避けるのは当然。燃えにくい所に保管するのも大事です。
勿論電圧の管理も大事です。定期的に”安全な”テスターで計測した方がいいでしょう。
知らずに死んだテスター使って短絡→爆発させた人を僕は知っています。
また、必ず”リポ袋”を買いましょう。リポ袋とはセーフティバッグと呼ばれるもので、要するに防爆袋です。
Li-poの販売店で、リポ袋を売っていないところからはLi-poを買わない方がいいでしょう。安全意識が怪しいです。
ぶっちゃけこれに燃えているLi-poを入れたところで鎮火したりはしませんが、
少なくとも破片が飛び散ったり等爆発の被害は避けられます。防火布だけど安いものは燃えることもあります。
搬送時及び充電時にはこれにLi-poを入れるのが最善とされています。僕もそう思う(´・ω・`)
但し、複数のLi-poを同じリポ袋に入れるときはLi-po同士の端子接触が起こらないように絶縁しましょう。
絶縁しないまま入れて運んでもただの振動検知式爆弾です。
また、充電の目安としては定格電圧(1セルで3.7V、2セルで7.4V)を切った辺りで充電するように心がけると
過放電的な意味で安全だと思います。充電すると1セルあたり4.2Vくらいに充電されます。
まぁこれだけでしっかりしてれば上で記載したミスさえしなければ、まず大丈夫でしょう。
バカ判例も考えうるもの全てが上がっている訳ではないので、個々人でのしっかりとしたリスク回避が大切です。
また、海外に運ぶ場合、特にヨーロッパでは商用になると輸入規制等ありますが、
個人で持ち込む分には記事投稿時点では問題ありません。腐っても日本人ブランドは強い(´・ω・`)
むしろ変に厳重に保管すると逆に怪しまれるので普通に持ち込みましょう。英語圏外で捕まるのは面倒です。と経験者は語る(´・ω・`)
次はもしも発煙したら・・・?という観点で記事を書いていきます。
まず常識的な範疇から行きましょう。
原因究明より危機回避が優先。
常識だと思ってたのですが、どうやら僕は老害だったようです。知ってた(´・ω・`)
発煙してる状態で回路チェックなんてしないで、まずは電源を引っこ抜きましょう。
ニッパーで線同時に両方きっちゃダメよ?起爆方法のひとつだから(´・ω・`)
そして次にバッテリーの状態を確認です。バッテリーの安全確認が出来る状態なら危機は去っているでしょう。
危機が去っていない場合。つまりバッテリーが発煙、あるいは発火している場合です。
周りの可燃物爆発物を取っ払うのは当然ですが、次の対処。
消火器がくるまでは可燃物が他にない場合は何もしない、というより何も出来ない場合が殆どです。
というのは水をかけてもLi-po自体が可燃物なので消化にはあまり効果がないのです。
※温度を下げるという意味では有効です。
消化は消火器でやるのが適切。一般的なLi-poは水と反応して悪化するタイプのものではないので
大量に水をかけ続けられるのであれば消火器が来るまでは水をかけることは無駄にはなりません。
また、発火していない段階、あるいは発火後の段階では水の中につけるのがベスト
温度さえ下げれな内因的な二次発火は防げるはずです。勿論状況によって最善は変わりますね。
今更ですが、リポ袋は発火による被害を防ぐものであり、発火そのものを防ぐものではありませんので注意です。
膨らんだLi-poについては塩水処理がベターですが、
端子が酸化してしまうので前述した通り完全放電はされないようです。
Li-poリサイクルをやっている場所が近くにあれば、処理後にLi-poリサイクルに出すのが良いようです。
Li-poの場合発火した時点で火災直行ルートですので、それなりの対応が求められるということです。
という訳で最後に今回の記事の結論を書いておきます。
・Li-poは非常に強力でかつ現在では一般的な2次電池
・Li-poは正しい使い方をしていればまず燃えることはない(膨らんだ場合や配線、端子の劣化は別)
・間違った使い方をすると簡単に炎上する。
・発火した場合は火災と思って初期消火のつもりで対応
と言うのが今回の記事の結論です。
因みにLi-poにはLi-feという仲間のポリマー電池があります。
セル電圧がちょっと低いのと、値段が高いのが難点ですが、圧倒的に爆発しないのでおすすめです。
また、最新研究をちょっと覗けばわかるように、
どんどん新しい2次電池は開発されており、商用化に向けた研究も進んでいるので
近い将来、爆発する危険性の高いLi-poは確実に世界から消滅します。
何度も言うけど爆弾としての用途ではもっといい物たくさんあるからね!
今自分たちが注意して扱っていれば、そのうちこの危機は勝手に去っていてくれます。
ですので、Li-poを使われている方々は”今だけ”と思ってくれぐれも慎重に扱ってくれることを願います、
少なくともこの記事を呼んでくれている人がリポを爆破させることのないことを願いつつ、
今日はこの辺で終了したいと思います。
っていうかノードブロック等自分の近辺で爆発して欲しくないっていうのが本音です('ω')✌
それでは
(^・ω・)ノ curonet at RadiumProduction