RoboCup Junior Japan Rescue Kanto OB
2005~2013
2005~2013
トランジスタの続きです。
前回はトランジスタってどんなもの?なんて話を簡潔にしたかと思います。
今日は前回の最後に話、なんであの回路がダメかという話からです。
前回の回路・・・例を取ってnpnの方で説明しましょうか。
前回の回路はこれです。
これでこのBATTERYが繋がっていればトランジスタはONになり、
繋がっていなければOFFになる・・・となるはずですよね。
結構教科書とかでも、この図が正しいつなぎ方として書かれていることが多いんですよ。
要するにこれはトランジスタを理解するうえでの理論上は問題ない回路図なんですよね。
でも現実にこの回路は作ると色々と問題が生じます。
今回はその主な問題を順々に解決していきます。
まず、一つ目の問題、
この状況、この状況でトランジスタがONになったらどうなるでしょう。
コレクタとエミッタが繋がるんだから・・・コレクタの先にはBATTERY2の+側、エミッタの先にはBATTERY2の-側。
これ、ショートしてませんか?
電源の+と-が繋がっている訳ですから・・・ねぇ。
まぁ厳密にはトランジスタにも微量に内部抵抗がありますから、ショートはしてませんけど・・・
それでもC-E(コレクタ‐エミッタ)間にとてつもない大電流が流れてしまいます。
となると、当然、ダイオードと同じでトランジスタにも流して良い電流の上限、絶対最大定格がありますから
それを超えた電流がトランジスタに流れると弾けます。
トランジスタは弾けると良い音しますよ♪
まずこれが一つ目の問題。
次の問題同じように今度はベースとエミッタを見てみましょう。
ベースの先はBATTERYの+側、エミッタの先はBATTERYの-側、これもショートしてますね。
B-E(ベース-エミッタ)間に大電流が流れてしまっていますね。これも結構やばいです。
絶対最大定格を超えてしまい、良い音で爆ぜることでしょう。
特にベースに流せる電流量はとても少ないので、電池なんか直でつないだら確実に爆ぜることでしょう。
そして最後の問題、
例えば電池の+がベースに繋がっていなかったらこの回路、どうなりますか?
もちろん繋がっていませんからONにはなりませんよね。
じゃあOFF?
実はOFFともいえないのです。
デジタルの電子回路では、常に信号はONかOFFのふたつのみ。つまり必ずどちらかでなくてはならないのです。
ONというのは電気が来ている状態、つまり+に繋がっている状態を指しますね。
ではOFFというのは?
電気が来ていない状態?いえ、そうではなく、
正確には-に繋がっている状態を指すんです。
それ以外に該当するのは全部「不定」という状態として扱われます。オープン、ハイインピーダンスとも言いますね。
これは一部の素子を除いて、結構まずい状態です。ONかOFFの二つで判断するのに、どっちでもない状態・・・
これはトランジスタの動作がどうなるか、まったくわかりません。とても安定しない、不定な状態になります。
こういった状態も0か1かのデジタル回路では一般にタブーです。
という訳でこれも避けなければなりません。
このような3点の問題がこの回路にはあるのです。
じゃあこの問題、どうしたら解決するでしょうか。
答えは全部、「抵抗」です。
ではどのように抵抗を配置すればいいのでしょうか。
まぁこのような感じになります。
抵抗が3つ追加されました。
まずR1について。
これは一つ目の問題を解決する抵抗です。というよりこれは抵抗でなくても構わないのだけど・・・
ここになにかしらの負荷を配置することで、BATTERY2はショートしなくなります。
実際に使うときはこの部分をトランジスタを使って制御したいものを繋ぎかえます。
こういったものを負荷といってこれを抵抗で置き換えたもの?を負荷抵抗といいます。
次にR2について、
これは単純に、ベースに流れる電流を制限するための抵抗です。電流制限抵抗ともいいます。
これの原理はオームの法則ですね。抵抗のところで紹介しました。
この部分に流せる電流は少ないのでこの抵抗は5~20k程度の大きい抵抗になることが殆どです。
最後にR3について。これはちょっと難しいです。
Bと電源のマイナス、つまりGNDの間に繋がっていますね。この抵抗、どういったものなのでしょうか?
例えばBATTERYが繋がっている時、これは普通に書き換えるとこんな風になりますね。
これだとBにいくらかの電圧がかかり、Bに電流が流れることがわかります。
次にBATTERYが繋がっていない場合。どうなりますかというと・・・
このようなります。
この時、R3には電圧がかかっていないので電流は流れず、R3は電圧降下を生みません。
従ってR3の電圧降下が0なのでR3の両端の電圧は同じになります。
という訳で片方が、BATTERYのー側・・・つまり0Vのところに繋がっているので反対側も0V、
つまりBの端子は不定ではなくしっかりと0Vになるのです。
これでトランジスタをしっかりとOFFにすることができます。
この抵抗はそのために使われる抵抗なのです。
このように外部から電流が流れてこないときに端子をOFFにする抵抗をプルダウン抵抗といいます。
逆にONニするすような抵抗をプルアップ抵抗といいます。
これで3つの抵抗によって3つの大きな問題は解決しました。
ようやく、トランジスタを使って回路をON,OFFするような回路を作製することができます。
簡単な回路だとこんな感じに作れます。
右上の四角いのはスイッチです。この回路はスイッチを押すとLEDが付き、離すとLEDが消える回路です。
今までの説明がわかれば、この回路は理解できるでしょう。きっと(笑)
このように押すと、つく、といった論理を正論理といいます。
逆に押すと、消える、という風な論理を負論理といいます。負論理の話は何れまた。
という風にこのようなトランジスタで電気的なスイッチを作成するとトランジスタの作用を
トランジスタのスイッチング作用とかいいます。
次の記事では、もうひとつのトランジスタの主な作用である、増幅作用について紹介しようと思います。
因みに今回使ったのはエミッタ接地回路という回路です。他にもコレクタ接地とベース接地があります。
増幅の問題上、ロボカップでは基本、エミッタ接地しか使わないとは思いますが、興味があれば調べてみると面白いかも。
この話もいつかするかも知れません。
それでは今日はこの辺で。
(^・ω・)ノRadiumProduction in RoboCupJunior
前回はトランジスタってどんなもの?なんて話を簡潔にしたかと思います。
今日は前回の最後に話、なんであの回路がダメかという話からです。
前回の回路・・・例を取ってnpnの方で説明しましょうか。
前回の回路はこれです。
これでこのBATTERYが繋がっていればトランジスタはONになり、
繋がっていなければOFFになる・・・となるはずですよね。
結構教科書とかでも、この図が正しいつなぎ方として書かれていることが多いんですよ。
要するにこれはトランジスタを理解するうえでの理論上は問題ない回路図なんですよね。
でも現実にこの回路は作ると色々と問題が生じます。
今回はその主な問題を順々に解決していきます。
まず、一つ目の問題、
この状況、この状況でトランジスタがONになったらどうなるでしょう。
コレクタとエミッタが繋がるんだから・・・コレクタの先にはBATTERY2の+側、エミッタの先にはBATTERY2の-側。
これ、ショートしてませんか?
電源の+と-が繋がっている訳ですから・・・ねぇ。
まぁ厳密にはトランジスタにも微量に内部抵抗がありますから、ショートはしてませんけど・・・
それでもC-E(コレクタ‐エミッタ)間にとてつもない大電流が流れてしまいます。
となると、当然、ダイオードと同じでトランジスタにも流して良い電流の上限、絶対最大定格がありますから
それを超えた電流がトランジスタに流れると弾けます。
トランジスタは弾けると良い音しますよ♪
まずこれが一つ目の問題。
次の問題同じように今度はベースとエミッタを見てみましょう。
ベースの先はBATTERYの+側、エミッタの先はBATTERYの-側、これもショートしてますね。
B-E(ベース-エミッタ)間に大電流が流れてしまっていますね。これも結構やばいです。
絶対最大定格を超えてしまい、良い音で爆ぜることでしょう。
特にベースに流せる電流量はとても少ないので、電池なんか直でつないだら確実に爆ぜることでしょう。
そして最後の問題、
例えば電池の+がベースに繋がっていなかったらこの回路、どうなりますか?
もちろん繋がっていませんからONにはなりませんよね。
じゃあOFF?
実はOFFともいえないのです。
デジタルの電子回路では、常に信号はONかOFFのふたつのみ。つまり必ずどちらかでなくてはならないのです。
ONというのは電気が来ている状態、つまり+に繋がっている状態を指しますね。
ではOFFというのは?
電気が来ていない状態?いえ、そうではなく、
正確には-に繋がっている状態を指すんです。
それ以外に該当するのは全部「不定」という状態として扱われます。オープン、ハイインピーダンスとも言いますね。
これは一部の素子を除いて、結構まずい状態です。ONかOFFの二つで判断するのに、どっちでもない状態・・・
これはトランジスタの動作がどうなるか、まったくわかりません。とても安定しない、不定な状態になります。
こういった状態も0か1かのデジタル回路では一般にタブーです。
という訳でこれも避けなければなりません。
このような3点の問題がこの回路にはあるのです。
じゃあこの問題、どうしたら解決するでしょうか。
答えは全部、「抵抗」です。
ではどのように抵抗を配置すればいいのでしょうか。
まぁこのような感じになります。
抵抗が3つ追加されました。
まずR1について。
これは一つ目の問題を解決する抵抗です。というよりこれは抵抗でなくても構わないのだけど・・・
ここになにかしらの負荷を配置することで、BATTERY2はショートしなくなります。
実際に使うときはこの部分をトランジスタを使って制御したいものを繋ぎかえます。
こういったものを負荷といってこれを抵抗で置き換えたもの?を負荷抵抗といいます。
次にR2について、
これは単純に、ベースに流れる電流を制限するための抵抗です。電流制限抵抗ともいいます。
これの原理はオームの法則ですね。抵抗のところで紹介しました。
この部分に流せる電流は少ないのでこの抵抗は5~20k程度の大きい抵抗になることが殆どです。
最後にR3について。これはちょっと難しいです。
Bと電源のマイナス、つまりGNDの間に繋がっていますね。この抵抗、どういったものなのでしょうか?
例えばBATTERYが繋がっている時、これは普通に書き換えるとこんな風になりますね。
これだとBにいくらかの電圧がかかり、Bに電流が流れることがわかります。
次にBATTERYが繋がっていない場合。どうなりますかというと・・・
このようなります。
この時、R3には電圧がかかっていないので電流は流れず、R3は電圧降下を生みません。
従ってR3の電圧降下が0なのでR3の両端の電圧は同じになります。
という訳で片方が、BATTERYのー側・・・つまり0Vのところに繋がっているので反対側も0V、
つまりBの端子は不定ではなくしっかりと0Vになるのです。
これでトランジスタをしっかりとOFFにすることができます。
この抵抗はそのために使われる抵抗なのです。
このように外部から電流が流れてこないときに端子をOFFにする抵抗をプルダウン抵抗といいます。
逆にONニするすような抵抗をプルアップ抵抗といいます。
これで3つの抵抗によって3つの大きな問題は解決しました。
ようやく、トランジスタを使って回路をON,OFFするような回路を作製することができます。
簡単な回路だとこんな感じに作れます。
右上の四角いのはスイッチです。この回路はスイッチを押すとLEDが付き、離すとLEDが消える回路です。
今までの説明がわかれば、この回路は理解できるでしょう。きっと(笑)
このように押すと、つく、といった論理を正論理といいます。
逆に押すと、消える、という風な論理を負論理といいます。負論理の話は何れまた。
という風にこのようなトランジスタで電気的なスイッチを作成するとトランジスタの作用を
トランジスタのスイッチング作用とかいいます。
次の記事では、もうひとつのトランジスタの主な作用である、増幅作用について紹介しようと思います。
因みに今回使ったのはエミッタ接地回路という回路です。他にもコレクタ接地とベース接地があります。
増幅の問題上、ロボカップでは基本、エミッタ接地しか使わないとは思いますが、興味があれば調べてみると面白いかも。
この話もいつかするかも知れません。
それでは今日はこの辺で。
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